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スライドの最適な縦横比: 16:9 vs. 4:3

現代のプレゼンテーションにおけるスライドの縦横比は、16:9と4:3が主に使用される。

特にPowerPoint2013以降は16:9がデフォルトとして設定され、欧米や日本でのスタンダードとして浸透してきた。

ではスライドの最適な縦横比は、やはり16:9なのだろうか。

今回の記事では、これらの縦横比の特徴や選ぶべき理由について解説する。
 

16:9のメリット

1. 映像業界の標準に一致

現代の映像業界での標準は16:9である。私たちはこの比率の映像やスライドは日常的に目にするため、自然で違和感が少なく感じられる

2. 現代的な印象

同じ対象に繰り返し触れていると、その対象を好きになる傾向を、単純接触効果※という。

これは、テレビやPCディスプレイの標準が16:9である現代において、この比率が視覚的に現代的で洗練された印象を与える理由の一つである。

※1968年にアメリカの社会心理学者ロバート・B・ザイオンスが提唱した心理効果 (Zajons, 1968)

例)新しい楽曲を初めて聴いたときは何も思わなかったが、ラジオや店内BGMで何度も聴いているうちに、その曲を好きになる


3. 情報の配置の自由度

16:9のフォーマットはスライドの横幅が広いため、コンテンツを並べて表示しやすく、情報の配置やデザインの自由度が高い
 

4. 人間の視野に適合

過去記事(対比は上下でなく左右に配置する方がよい理由)に書いたように、人間の視野は上下より左右に広い。よって横長のスライドのほうが、視界や視線の流れに合っている

5.デバイスとの互換性

現在の多くのディスプレイやプロジェクターは16:9の比率で設計されている。16:9のスライドを使用すると、枠外に情報がはみ出たり、文字が小さく読みにくくなるリスクが低くなる。

16:9のディスプレイ(黒背景)に4:3のスライドを使用すると、左右のスペースが無駄に


4:3のスライドが残る理由

ここまで16:9のメリットを述べてきたが、旧来の4:3のスライドもいまだに使われているのには理由がある。

1. 過去の資料との互換性

かつてPCモニターやプロジェクター、そして PowerPointの旧バージョンでは 4: 3の縦横比が標準であった。その影響で、過去の多くの資料がこの比率で作成されている。
 

2. 古いデバイスとの互換性

一部では、未だ4:3のプロジェクターが使用されている。これらの設備でプレゼンテーションを行う場合、4:3のスライドが最も効果的に情報を表示できる。 

3. 印刷との親和性

スライドを印刷する場合、4:3はA4サイズの紙によくフィットし、無駄な余白が少ない。そのため配布資料を作成する際に便利である。

A4サイズ(黒背景)に対して4:3のスライドはギャップが少ない

結論

現代のプレゼンテーション環境下では、PowerPointデフォルトの16:9でスライドを作成するのがベストである。

しかし、古いデバイスや印刷用の資料を考慮する場合には、4:3が最適となることがある。

よって使用するディスプレイや配布の形式に合わせて、適した縦横比を選ぶことが重要である。

既存スライドの縦横比を後から変更することはできる。しかしデザインが崩れてしまうためにオブジェクトの調整作業が必要となり、地味に手間がかかる。

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