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ポジティブな表現は青や緑、ネガティブな表現は黄や赤で表す理由 | スライドデザイン研究所

私たちは、普段の生活において様々な情報を、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感で認識している。これら情報のうち、87%は視覚から入ってくる。さらに視覚情報のうち、80%以上が色情報なのである。

色にはそれぞれ特徴があり、目にする色によって私たちの生理・心理は大きく影響を受ける。例えば、緑色を見るとリラックスし、赤色を見ると興奮する。

これは目から入った色情報が、脳を刺激して様々なホルモン分泌を促すためである*1。また、人間の進化の過程で体験してきた色情報も、私たちの心理に影響している(例えば、血の赤色は危険)。

これら様々な色による心理効果は、現代の日常生活でも様々な場所で活用されている。例えば、道路標識は黄色は注意を促すもの、赤色は停止や禁止を表すものになっている。

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このような色による心理効果は、スライドデザインにとっても重要な要素である。スライドの中でどの情報がどんな意味を持つのか、色を利用すると一目でわかりやすいからである。

人間は100万色以上の色を認識できるといわれる。ではスライドにどのような色を使用したら、見ている人に効果的に内容を理解してもらえるのだろうか。

タイトルにあるように、Timewitchではスライド作成において、基本的にポジティブな表現は青や緑、ネガティブな表現は赤や黄で表すようにしている。この色使いは、交通信号の青(緑)、黄、赤と同じである。

なぜそのような色使いを採用しているのか。
その理由を知るために、まずはそれぞれの色の特徴をみていこう。

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青色
ポジティブイメージ:落ち着き、信頼感、誠実さ
ネガティブイメージ:寂しい、マイナス
青色は、気持ちを落ち着かせるホルモン「セロトニン」を分泌させる。そのため心身の興奮を鎮め、感情を抑えたり、冷静に物事を判断できる。

青色は世界で最も人気がある色であり、会社のコーポレートカラーにもよく使われている(Timewitchのコーポレートカラーも青色)。

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緑色
ポジティブイメージ:安らぎ、調和、安心、安全
ネガティブイメージ:保守的、未熟
緑色は、記憶・学習・集中の助けになるホルモン「アセチルコリン」を分泌させる。また木や森などの自然色でもあることから、心身をリラックスさせる効果があり、見る人に落ち着き・安らぎ・安心感をもたらす。

緑色は暖色(赤や黄)でも寒色(青)でもない中間色で、最も刺激の少ない色であるため、他の色とバランスがとりやすい。

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黄色
ポジティブイメージ:陽気、希望、活発、幸福
ネガティブイメージ:うるさい、幼稚、注意、危険
黄色は、気分が高揚したり幸福感が得られるホルモン「エンドルフィン」を分泌させる。一方で、原始的本能を刺激し、注意・危険を感じさせる(例えば黄色と黒色の縞模様のスズメバチ)。

黄色は暗い場所でも視認性に優れており、安全色・警告色としてよく使われている。

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赤色
ポジティブイメージ:エネルギー、情熱、興奮
ネガティブイメージ:怒り、攻撃、警戒、危険
赤色は、体を興奮させる(心拍数を上げ、血流が良くなる)ホルモン「アドレナリン」を分泌させる。血、肉、熟した果実の赤色などは、太古の昔から生命に直結する色と認識されてきた。そのため、人は本能的に赤色に対して反応しやすい。

現在でも信号機の赤、消防車、消火器など、緊急・停止・禁止を警告するものに、赤色が多く使われている。

上記のように、各色はそれぞれポジティブなイメージとネガティブなイメージをあわせ持つ。また、それぞれの色によって、異なるホルモンを分泌させる生理的作用を持つ。

スライドデザインにおいて、これらの特性をうまく組み合わせた色使いを心がけることが重要である。

Timewitchのスライドにおいても、このような色の生理的・心理的特性を活用している。

つまり、青色・緑色をポジティブな表現に青や緑、ネガティブな表現に黄や赤を使用する理由は

信頼や落ち着きのイメージを持つ青色、安心や安らぎを連想させる緑色をポジティブなメインカラーに持ってくることで、見ている人に安定感を与え、冷静な判断を促すことができる。

警告色でもある黄色や赤色を、アクセントカラーとしてネガティブな表現に使用することで、本能的に注意をひきつける。

ということである。


参考

*1. 色彩のふしぎ 第5回 色の生理的作用を使う──色が持つ生理的な刺激を活用する。それは心理的な作用よりも科学的である。南雲 治嘉(デジタルハリウッド大学名誉教授)コア東京 2020年9月号


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