
スライドの「最適な文字の大きさ」にはワケがある フォントサイズの決め方
PowerPoint(パワポ)でスライド資料を作成するとき、文字サイズを適当に設定していないだろうか。
細かい設定と軽んじるなかれ。文字サイズは、資料の見やすさ・わかりやすさはもちろん、メッセージの伝わりやすさにも大きな影響を与えるのだ。
今回の記事では、資料作成のプロフェッショナルであるTimewitchのコンサルタントが、このような「スライドの文字サイズの大きさ」について考察していく。


スライドの「最適な文字の大きさ」はだいたい決まっている
結論から言うと、一般的なビジネススライドの文字サイズには正解がある。
シーンによって使い分ける必要があり、以下の2通りだけ覚えておけばよい。
PCに表示する・印刷して配布する:
スライドタイトル: 24pt
本文中の見出し: 18pt
本文中の文章: 14pt講演やプレゼンで大画面に投影する:
スライドタイトル: 36pt以上
本文中の文章: 28pt以上
デザイン性を高めたい場合や、特別な目的がある場合にはこの限りではないが、基本的なルールは上記のとおり認識しておけばよいだろう。
ここからは、より詳しくスライドの文字サイズについて解説する。
スライドの文字サイズを決める前に、まず「スライドサイズ」を決めろ
そもそも、最適な文字サイズを考えるうえではスライドのサイズを考慮する必要がある。
家具を置く家の大きさが決まっていないのでは、配置する家具の大きさを議論することはできない。まずはスライドサイズを決めよう。
PowerPointのデフォルトのスライドサイズは「16:9(33.867x19.05cm)」であり、Timewitchでもこのサイズを推奨している。
推奨している理由は以下の記事に詳しい。
文字サイズを変えるのは、内容をスムーズに理解してもらうため
スライドサイズを決めたら、次は「なぜ文字サイズを変えるのか」の理由を改めて把握しておこう。
スライドの文字サイズを変えるのは、情報の受け手がスライドの内容をスムーズに理解できるようにするためである。
人間が物を見るとき、そこには自然と優先順位が産まれる。通常、まず全体や概要から入り、徐々に詳細に目を移していく。より大きなものに目を留め、その後に小さなものを見るのだ。
ここからわかるのは「概要と詳細では文字サイズを変えなければならず、概要は大きな文字で、詳細は小さな文字で記載しなければならない」というシンプルなルールである。
ちなみに、私たちが文章を読むときに生じる高速な眼球運動のことを「サッケード」という。目は左から右へと小刻みにジャンプしており、視線は次々に隣の単語を探索する。サッケードは、1秒に3回もの高速な眼球運動だ。
イタリアトレント大学の認知心理学を専門とするMichele Scaltritti博士が2019年にNatureのScientific Reports誌で発表した論文によると、文字サイズが大きいと単に目を引くだけではなく、サッケードの振幅が大きくなり、読み取り速度が速くなる。
つまり、文字サイズに差をつけると、同じ文章でも読み取り速度が速くなる、ということである。
文字サイズは3種類まで
文字サイズは1スライドで3種類程度に抑えるのがよいとされている。文字サイズの種類が多いと、情報の階層関係が不明確になるためである。
本文の文字サイズに対する、タイトルや見出しの文字サイズの比率をジャンプ率という。デザイン的にフォントサイズをジャンプ率1.3~2倍の間で変化させるのがよい。ジャンプ率が高いと躍動感のある元気な印象、ジャンプ率が低いと落ち着いた真面目な印象になる。
そしてスライド内でジャンプ率をおおよそ一定にすると、すっきり見やすい。
スライド利用シーンと文字サイズ
スライドに適切な文字サイズは、利用シーンによっても変わってくる。主な利用シーンは3種類が考えられる。
a) 会社の会議室でモニターに映して近距離から見る場合
b) 配布資料としてPCモニターで見たり、印刷する場合
c) 講演など大きな会場でスライドをプロジェクター投影する場合
PCに表示する・印刷して配布するようなスライドの場合
まずは一般的なビジネスシーン(a、b)におけるスライドの文字サイズについて考える。
ビジネスシーンで使う資料は、図解もあるが文字が比較的多く、中身の文字をよく読むスライドといえる(ディテールスライド)。
ディテールスライドでは、必要な情報をスライドに格納する必要がある上に、文字サイズが大きいと画面の圧迫感が大きくなる。そのため文字サイズを小さくするのだが、ではどれくらいのサイズが良いのだろうか。
Timewitchでは、タイトル24pt、本文中の見出し18pt、本文では14pt(~18pt) の文字サイズを主使用している。
先ほど述べたジャンプ率は、本文>見出し>タイトルでそれぞれ約1.3倍であり、比較的落ち着いた印象である。

講演やプレゼンで大画面に投影するようなスライドの場合
次に、講演などのプレゼンテーションスライド(c)では、どれくらいの文字サイズがよいのだろうか。
こちらは文字が少なく、アイコンや写真、簡潔な図解などで直感的に理解されるスライドといえる(キースライド)。
プレゼンテーション会場の大きさにもよるが、キースライドの文字サイズはタイトルが32pt以上、本文は24pt以上が読んでもらえる目安になる。
Timewitchではタイトルに36pt、本文に28ptの文字サイズを使用している。
本文からタイトルのジャンプ率は、ディテールスライドと同じく約1.3倍である。

とはいえ、どんな状況でも通用する「最適な文字の大きさ」なんて、ない。
このように、一般化した「最適な文字の大きさ」というのはある一方で、実際のところ、本当に最適な文字サイズはスライドの内容や使い道によって多種多様である。
また、文字サイズはスライド作成のなかでもごく限られた要素でしかなく、見やすくわかりやすく、そして伝わりやすいスライドを作るためには無数のテクニックを身につける必要がある。
Timewitch(タイムウィッチ)は、ボストンコンサルティンググループ出身の起業家が立ち上げた資料作成代行サービスである。
このような奥深いスライドデザインの世界で日々、実践と研究を重ね、これまで10万枚以上のスライドを作成してきた。


この記事を作成したTimewitchについて
Timewitchの強みは、圧倒的なスピード。なんと、依頼から最速4時間、最遅24時間でPowerPointスライド資料を納品する。
スピードの秘密は、時差を利用した制作システム。世界中に点在する100名以上の海外在住日本人が、各国のコアタイムに働くことで、いつ依頼が来ても必ず誰かが対応できるチームを構築している。
Timewitchでは資料作成の依頼を、24時間365日(*年末年始を除く)受け付けている。
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そんな感動体験を、ぜひあなたにも味わってほしい。


この記事の著者:
溝端紀子
北海道大学でマダラ、同大学院にてトドを研究。修士終了後は、静岡の研究所にてカメ、サメ、海鳥を研究。北海道に戻りトドの研究をしつつ、アラスカで1ヶ月無人島におけるトド個体数調査などを経験。その後、アメリカ・アラスカ州に本格的に移住し、アラスカ大学にて聴講生として学ぶ。帰国後、京都大学大学院博士課程でタイのジュゴンを研究。東日本大震災を期にバルト三国・ラトビアに移住し、現地の研究所にて湖魚、薬用アロマ植物を研究。その後、Timewitchに参画し、ラトビアからフルリモートでスライドデザインを研究中。