スライドに目次は必要か?|スライドデザイン研究所
プレゼン用のスライド資料を作成するとき、目次を入れるべきか?と質問されたら、おそらく多くの人が「まぁ、あった方がいいんじゃない?」と考えるのではないだろうか。
ではスライドdeckが5枚だったらどうか?「うーん、さすがに5枚では目次はいらないよね…?」
ということで今回は、スライド資料の目次は必要かどうかについて考えてみた。
結論から言うと、目次が必要かどうかは、スライドの枚数や発表時間によって違う。目安としては、スライド10枚以下、発表時間10分以下なら目次は不要である。
目次を入れる理由
目次を置くメリットは主に2つある。
目次があると全体像がみえる
目次によってプレゼンのボリュームがつかめる
メリット1:全体像が見える
プレゼンの目次は、聞き手にプレゼンの構造を理解してもらい、興味を持ってもらうために作る。まずアウトラインを伝えて、どんな内容なのか、どれぐらいの量なのかを、前もって全体像を知ってもらう事で、聞き手も内容を理解しやすくなる。
要はプレゼンの全体像(最初に社会情勢の話、次に会社の置かれている状況、最後に新規事業のアイデアといった流れ等)を先に示すことで、相手の頭の中に大まかな構造をインプットする。
特にビジネスにおいて相手にこちら側の主張を理解してもらった上で何かを提案したり、共有する目的のスライド資料では、目次はその効果を発揮する。
ここで、プライミング効果について紹介したい。
プライミング効果とは、あらかじめ受けた刺激によって、無意識のうちに行動が影響を受けるという心理効果である。「前もって教え込む」という意味の英単語primeからきている。
プライミング効果にはいくつかの種類があり、先行する刺激と、その後の対象刺激の間に何らかの意味の関連があるものを「意味プライミング効果」という。
例えば、医師という単語を見た場合、看護師という単語を認識する速度は、他の無関係な単語(椅子など)を認識する速度よりも速い。
スライドの目次では、この意味プライミングの効果を活用することができる。目次であらかじめ得た情報に対して、その後それに関連する単語が思い浮かびやすく、話の理解がスムーズとなる。
メリット2: プレゼンのボリュームがつかめる
また発表時間が長いときは、内容を整理しながらプレゼンを進める必要がある。目次でいくつかの章に区切ることによって、冗長になりがちな長いプレゼンをわかりやすく分割することができる。
目次がないと「このプレゼンはどれくらい続くのか?」「重要なところはいつ話すのだろうか」と聞き手は気になってしまい、集中して話を聞けない。
人は、先が見えないと不安を感じるため、目次の存在によって安心感を与えるという役割もある。
目次の作り方
目次を作る際には、聞き手に全体像を把握させ(どんな内容)、プレゼンボリュームを伝達する(どれくらいの長さ)ということを頭の片隅に置いておきたい。
目次では、聞き手の期待を高める言葉を選び、目次を読むだけで内容がイメージできる表現にする。
章数:人が短期記憶に保持できる情報は4 (±1)個までである(マジカルナンバー4、過去記事参照: スライドの文字数は何文字が適切か)。よって構成する章は多くても5つまでにまとめたい。
読む資料としてのスライドを作成するときは、目次にページ番号を記載すると、読む人が必要とする情報にアクセスしやすく親切である。
中表紙のすすめ
目次はたいてい冒頭で表示することが多い。しかしプレゼンが進んでいくと、聞き手が「今何の話をしているんだっけ?」と道に迷ってしまう事がある。
解決策として、話の内容が変わるところで中表紙を挟むことで、現在地とこれから何を話すのかを示すことができ、聞き手が不安にならない。
応用編として、スライドの端に常に目次を示しておく方法もある。
Webサイトを閲覧しているとき、今どの位置にいるかはサイトの上部に表示されるナビゲーション(通称パンくずリスト)で知ることができる。
それと同様に、スライド資料全体の中で現在位置を示すための補足情報として、内容に干渉しない位置(例えば右上)にガイドを置く。スライドが進むにしたがって、ガイド内のハイライト位置が変わっていくため、視覚的にわかりやすい。
最後に
結局、どんな時に目次を入れたらいいのか?
スライドの章ごとに内容が変わり、論理的に説明する必要がある時は、目次があったほうがよい。
よって学術的な発表や社内プレゼンでは、目次は入れておきたい。また目次を入れるときには、中表紙もあわせて入れることをお勧めしたい。
目次が不要なのは、例えば、歓送迎会用のスライドの様な、こちら側の細かい配慮や論理構成を理解してもらう必要のない、サプライズ的なスライドである。
目次をつけるか迷ったら、スライド枚数(10枚以上)や発表時間(10分以上)で判断しよう。
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