スライドのタイトル・サブタイトルの書き方|スライドデザイン研究所
スライド資料を作成する際、各スライドのタイトルをなんとなく思い浮かんだ言葉で作っていないだろうか。
タイトルはスライドの印象を大きく左右することもあり、スライドの顔ともいえるとても重要な部分である。よってタイトルにも十分に注意を払って作成したい。
イメージとしては、各スライドのタイトルを読み進めるだけでストーリーが完成する状態が理想である。
そこで今回は、スライド資料における各スライドのタイトル・サブタイトルについて考えてみる。
タイトルはいつ決める?
まず、タイトルはどの作成段階で決めるといいのか?
答えとしては、タイトルはスライドを作ろうとパワポを開く以前の、初期段階で決めておきたい。
以前の記事(パワポ作業前に手書きでストーリーラインを書いた方がいい理由)では、「パワポを開いてから何を書こうかと考えるのではなく、先に何を書くか手順に沿って概ね準備してから、パワポで作業開始するのがよい」と書いた。
特に肝心となるのは何を書くかテキストで準備する段階(下図の①~③)である。
流れとしては、①でスライド全体を通して何を達成したいのか目的を設定、②でその目的を達成するためのストーリーを考え、③でストーリーを伝えるためにどんな情報があればよいのか箇条書きで書き出し、それがスライド毎のタイトルとなる。
タイトルを最初に決めるメリット
最初に述べたように、スライドdeckは各ページのタイトルを読み進めるだけでストーリーが完成する状態が理想であり、それを目標としたい。
ここでちょっと目的と目標の違いについて説明する。
目的は、ある行動を起こす理由や意義を示す。そして目標とは、目的というゴールに向けて、その過程に設定される小さい指標のことである。
目的や目標を設定すると何が良いのか?
1968年にアメリカの心理学者エドウィン・ロックによって提唱された目標設定理論というものがある。
モチベ―ションはどんな目標を設定するのかによって変化し、目標が困難であったり具体的なものであるほどモチベーションアップにつながる。
タイトルはスライドの目的を反映したものであり、その意味で目標になる。
初期段階でタイトルを決めることで、ストーリーの方向性が明確になる。
そして何を達成すべきかを正確に把握できるため、モチベーションを高く作業を効率的に進めることができる。
タイトルをどのように作るか?
タイトルは伝えるべき内容を伝えるために、余分な情報を削ぎ落し、簡潔にまとめることが重要である(文法的に正しい日本語でなくても問題はない)。
重要なキーワードを含める事、タイトルを読むだけでメッセージを理解でき、タイトル下のメッセージエリアの結論が示されているのがよい。
例えば、スライドの内容は本文や図表を使って説明し、タイトルには内容から読み取れることを書く。
ただし、タイトルがメッセージエリアの説明になってはいけない。タイトルで内容を詳しく説明してしまうと、スライドを見る前に聞き手がすでに内容を把握してしまい、スライドを見る意欲を失う可能性がある。
スライドの目的や読み手の視点を意識し、分かりやすく魅力的なタイトルにしたい。
お勧めなのは、初期段階のテキストでスライドの内容を”箇条書きで”整理した際、そのWordの最も低いインデントの言葉たちをコピペしてタイトルにする方法である。
例えば以下のようにテキストで整理した場合、最初の太字部分がそのままスライド1枚のタイトルとする。
スライドの目的によっても、書き方は違ってくる。
報告書のような情報伝達を目的としたスライドでは、正確で明確なタイトルが必要である。
一方、営業など説得を目的としたスライドでは、興味を引き、説得力のあるタイトルが必要である。
簡潔に書くとは言っても、時にはタイトルが長く2行になってしまう事もある。1行の場合に比べて見栄えが悪くなってしまうため、調整が必要である。
1つ目は文字サイズを小さめにする方法、2つ目はタイトルをより簡潔にまとめて、入りきらない情報を"サブタイトル"として追加する方法である。
サブタイトルとは?
サブタイトルは、タイトルの下に表示され、タイトルに続く補完的なテキストである。
タイトルの1文では伝わらないけどメインメッセージとして伝えたい情報がある場合や、意外性が高い場合の補足情報を表す。サブタイトルはタイトルよりも長くなりがちだが、冗長にならないよう、わかりやすくまとめたい。
サブタイトルはタイトルよりも文字サイズが小さいことが多く、タイトルと視覚的に区別できるようにする。例)フォントの色を変える
ちなみにTimewitchのスライドフォーマット(ディテールスライド)では、タイトルは文字サイズ24ptの青文字、サブタイトルは14ptの黒文字となっている。
最終調整
スライドを作成していく中で、問題が出てきたり、他にいいアイデアが浮かんだりした場合は、後からタイトルを修正することもある。
修正する際は、タイトルに含むべき要素をもう一度洗い出し、読み手に伝えるべき内容を明確にする。
プレゼンにおいて
最初に書いたように、プレゼンは基本的に各ページのタイトルを読むだけで成立させるくらいのイメージで行いたい。
プレゼンで最悪なのは、タイトルを読まず、スライドに書いてないことを喋るパターンである。視覚情報と聴覚情報が合致せず、聞き手は何も頭に入ってこない。誰もついてこられない独演会となりかねないので注意したい。
最後に
スライド作成の基本として、よく挙げられるものに「KISSの原則」というものがある。「Keep it short and simple.」「Keep It Simple, Stupid」の各単語の頭文字をとったもので、直訳すると「簡潔に単純にしろ!」「簡潔にしろ、間抜け!」といったところである。
元々は1960年代の米国海軍やその後技術者の世界で使われていた経験則で、物事は単純明快なほどよいということ。
スライド作成時は、内容はもちろん、タイトルにもこの法則を適用したい。