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スライドdeckの最適な枚数とは|スライドデザイン研究所

プレゼンテーションの際に、PowerPointのスライド資料を作成する機会は多い。

会議、講演、セミナーなどでは、プレゼンテーションの時間に大抵制限があり、その制限内でどれだけのスライドを作成し、どのように情報を伝えるべきかは重要なポイントとなる。

何枚のスライドを使用するかは人により違い、数枚のスライドを前に何十分も話す人もいれば、100枚以上のスライドを用意して怒涛のようにプレゼンテーションを進める人もいる。

では何枚のスライドを準備すればいいのか。



何枚のスライドを準備すべきなのか

結論から言うと、スライドdeckの最適な枚数に絶対的な正解はない

そうはいっても何か目安となるものが欲しいという方もいると思うので、今回の記事では、スライド資料の最適な枚数についてガイドラインを提供したい。
 
まずスライド作成の全体ポイントを最初にあげておく。

・ 1スライド1メッセージ
・ 情報量を多くし過ぎない
・ 1スライド当たりのプレゼンテーション所要時間は、内容が簡潔なものは30秒~1分、複雑なものは2~3分が目安である(簡潔さ/複雑さについては後述)

スライドdeckの枚数は、スライドの目的、内容、聞き手の特性によって違ってくるので、それぞれ順にみていこう。

1. スライドの目的や内容による違い

一般的にプレゼンテーションのスライドは、内容がシンプルであれば枚数を減らしてスピーディに、複雑で詳細な内容ならば枚数を増やして細かく説明する必要がある。

①   提案や報告など目的が明確で、簡潔な内容であれば、枚数が少なくてもOKである。主にキースライドを使用する。

②   詳細な情報や複雑な内容の場合(提案の補足、共有、相談など)、内容に応じて枚数を増減する。主にディテールスライドを使用する。

キースライドとディテールスライド

ここで出てきたキースライドとディテールスライドについて説明する。
参考(スライドにおける最適な文字サイズには訳がある

キースライド
大きな講演などでよく使われるような、文字が少なく、アイコンや写真、シンプルな図解などで直感的に理解されるスライドである。主要なポイントや要点が、明確に強調されている。

キースライドの例


ディテールスライド
ビジネスシーンでよく使われるような、図解もあるが文字が比較的多く、中身の文字をよく読むスライドである。深い内容や詳細な情報を提供する。

ディテールスライドの例


情報をまとめるコツ

スライド枚数が多い時は特に、ストーリーテリング(物語を通じて情報やメッセージを伝える)を意識したスライドで、聞き手の興味を引き続けるようにする。
 
情報が多いと聞き手を混乱させる可能性があるため、要点を分けるなどの工夫をして簡潔でわかりやすいスライドにまとめることが重要である。


アイコン、写真、図やグラフなど視覚的要素も、聞き手の理解を助ける。


以前の記事「スライドにアイコンを使う効果」で書いたように、人間の脳は文字よりも画像の方をより早く処理できる。また文字だけのプレゼンよりも、画像を加えたプレゼンの方がより理解されやすく、記憶に残りやすいのである。


2. 聞き手の特性による違い

聞き手の関心や専門知識レベルによって、情報の深さや詳細度を調整する必要がある。

① 初学者や一般人向け:専門用語や業界用語を避け、スライドの情報量も少なめに作成する。主にキースライドで作成する。

キースライドの例


② 専門家向け:詳細な情報や専門的な内容を提供する。主にディテールスライドで作成する。

ディテールスライドの例

 

3. プレゼン時間とスライドdeckの枚数

スライド1枚あたりの所要時間は、内容の複雑さや詳細さ、つまり情報量によって変わる。キースライドのようにパッと見て理解できることもあれば、グラフの理解に数分かかることもある。

また所要時間はプレゼンターの説明ペースにも影響される。NHKのアナウンサーは1分間で話す文字数を300文字としており、これは聞き手が理解しやすいスピードの目安となる。

300文字の目安


情報量×話すスピード=所要時間

以前の記事(スライドの文字量は何文字が適切か?)では、1スライドあたりの情報量の目安としてキースライドは105文字まで、ディテールスライドでは500文字まで(多くても750文字)と書いた。

これらのスライド情報量と話すスピードを考慮すると、プレゼンテーションにおけるスライド1枚当たりの所要時間は以下のとおりである。

よってプレゼンテーションに与えられた時間とスライド1枚当たりの所要時間から、全体のスライド枚数は決まってくる。
 
例えば、ディテールスライドのみを使った30分のプレゼンテーションでは、スライドdeck10~15枚が目安となる。
 
 

4. 読み物用スライドの場合

ここまではプレゼンテーション用スライドを対象として述べてきた。

しかしビジネスシーンでは、レポート、説明資料、プレゼンの補足資料など、読み物資料として準備するスライドもある。

こちらのスライドでは、読み手は読みたい部分だけを読むので、スライド枚数は無制限である。

 
プレゼンテーション用スライドとは異なる点として、口頭の説明なしでも情報を伝えられるように文字による具体的な説明が多めになる。

とはいえ長文になると読みづらくなるので、簡潔に書き、1文が長くなりすぎないように気を付ける。
 
新聞記者やWebライティングでは、一文の長さ40~60文字※が推奨されており、「伝える文章」における一文の長さの目安となる。

※1960年代に文章心理学の専門家でもあった波多野完治博士が導き出し、新聞社に提案した数字

その他の作成ポイントには、次のようなものがあげられる。
・ 目次、スライド番号を入れるなどして情報の流れを示す
・ 箇条書きを活用する
・ キーワードを強調する
・ 写真、図やグラフなど視覚的要素を適所に使う
 

まとめ

スライドdeckの最適な枚数は、目的、伝えたい内容やターゲットとなる聞き手によって変わる。

簡潔さを保ちつつ、聞き手の関心や理解度に合わせて、物語のように情報を伝えることが効果的である。

次のスライド資料作成では、下に挙げたポイントを参考に、スライドの枚数を計画してみてほしい。

そして最終的な目標は、聞き手に情報をわかりやすく伝え、次のアクションにつなげることである。



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